梅毒はここ数年で感染者数が急増している性病です。
急増し続けている梅毒
梅毒は治療法が確立されており、梅毒に感染しても医療機関で適切な治療を受けることで完治できる病気です。そのため、近年ではではあまり見られない病気となっており、梅毒患者数は10年ほど前までは年間で1,000人未満で推移していました。
最近10年ほどは梅毒患者数が増加中
しかし、近年長い間あまり見られない病気として、年間の患者数が全国でも1,000人に満たない状況にあった梅毒ですが、平成25年ごろから患者数が増加傾向となり、令和3年では全国で7978人の梅毒患者が報告され、令和4年に至っては10月26日の時点で10,000人を超えています。
これは、患者数が増加傾向となる前の平成23年と比べるとおよそ10倍以上にもなる数です。
梅毒患者は20代女性が中心
2022年11月3日の読売新聞(ヨミドクター)で先天梅毒に関する記事が掲載されました。
この記事によれば、令和4年の梅毒患者数は、11月1日の時点で現在の集計方法となって以来初めて梅毒の患者数が10,000人を超え(10,141人:速報値)ました。
また東京都感染症情報センターによれば、東京都に限っても、11月1日の時点での梅毒の感染者数が分かっているだけでも2,983人となっています。
梅毒患者については男性では20代前半から50代まで幅広くいるのに対して、女性では特に20代に患者が目立つことから、母子感染による「先天梅毒」が心配されています。
妊娠中に梅毒に感染した場合、流産や早産の原因となることがありますが、生まれてくる赤ちゃんにも梅毒が感染していることがあり、これが「先天梅毒」です。
読売新聞(ヨミドクター)の記事によれば、「妊婦が妊婦健診で梅毒の感染に気づいてすぐ治療した場合、母親の胎盤を通じて胎児に感染する先天梅毒は14%で、治療しない場合先天梅毒となる割合は高まる」とあります。
参考:国立感染症研究所
参考:東京都感染症情報センター
参考:読売新聞(ヨミドクター)
東京都内の女性感染者は40倍に
令和5年2月17日の東京都知事の定例会見で、梅毒の感染報告数が急増している件について小池都知事の発言がありました。
梅毒の感染報告数は全国で増えているなか、東京都内の2022年の感染報告数は3677件で1999年の調査開始以来過去最多であった。
2022年の感染報告数は急増していて、2016年~2020年の感染報告数1700件前後に対しておよそ2倍となっている、というものでした。
また、10年前の2012年と比較して女性はおよそ40倍の感染報告数となっており、その多くは20代です。
感染症専門医による梅毒の記事がYahooに掲載されました
令和5年2月26日付で感染症専門医の忽那賢志先生による梅毒の記事がYahooに掲載されました。
これによると、
年齢・性別ごとに見ると、男性では20代以上の世代で幅広く感染者が報告されているのに対し、女性では20代が突出して多くなっています。
一部の報道ではマッチングアプリと梅毒の増加との関連が指摘されているようですが、必ずしも疫学的に因果関係が明らかになっているわけではありません。
国立感染症研究所のデータからは、むしろ梅毒と診断された男性の28%に過去6ヶ月以内の性風俗店の利用歴があり、また梅毒と診断された女性の39.6%に性風俗店の従事歴があったことが分かっており、性風俗店の利用や従事は明確な梅毒のリスクと考えて良さそうです。
とあり、また検査についても、
梅毒が疑われる症状のある方、不特定多数の性行為相手のいる方はぜひ検査を受けるようにしましょう。
とされています。
気になるときには検査を
ここ数年で梅毒患者が急増している原因ははっきりしていませんが、こちらの記事によれば、産婦人科医で日本家族計画協会の北村邦夫理事長の話として、
「SNSの利用など風俗業の業態が変化し、病気の検査をしていないケースが増えた」
とあります。
実際には風俗業に従事しているかどうかに関係なく梅毒患者が増加していることもあり、たとえ性行為を特定のパートナーのみと行っているとしても、感染の可能性はあると言えます。不特定多数のパートナーと性行為を行っているのであれば、意識して「梅毒と言う病気」を気にかけておいた方がいいでしょう。
上記のように、現在では梅毒は医療機関で適切な治療を受けることで完治できる病気です。気になることがあれば、迷わず検査を受けることが梅毒の感染拡大を防ぐ重要な方法と言えます。
検査が梅毒治療の第一歩
令和5年2月18日に放送されたNHKの情報番組「チョイス@病気になったとき」で梅毒を含む性感染症が取り上げられました。
そのなかでも言及されていたように、梅毒は医療機関で適切な治療を受ければ完治する病気です。しかし、梅毒は自覚症状のない潜伏期間が長くあるために自分では感染に気付きにくく、検査を受けないと感染していることがわかりません。
繰り返しとなりますが、不特定の相手と性交渉がある場合や、パートナーの梅毒感染が分かった時、梅毒の感染が疑われる症状が出た時などは、迷わず検査を受けることが重要です。
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このサイトに掲載している症状や治療例などについてはあくまでも参考例です。実際の各個人の症状や病気に当てはまるとは限りません。実際に症状や体調などが気になる場合や病気の場合には、医療機関もしくは検査機関で検査を受け、治療に関しては医師の診察を受けてください。